5月24日に「綿から糸をつむいで世界にひとつだけのミニコースターを織ろう」を開催し、親子で15組32名の方が参加されました。講師は「ことのはじまり合同会社」の目面 秀信(めづら ひでのぶ)さん、有信(ありのぶ) いづみさん(略して「めづちゃん」「いづちゃん」)。今回はワークショップも体験して「綿」に関する歴史、私たちの生活に欠かせない理由などを教わりました。

まず、お二人から「綿」に関する歴史を教えていただきました。「綿はどんなところで使われてるか知ってる人?」という質問に、こどもたちは「ぬいぐるみ!」「くつした!」など答えてくれました。どちらも正解!綿は世界で最も多く消費されている天然繊維だそうです。
綿が初めて日本に伝わったのは平安時代くらいで、「加工しやすい」「暖かい」ということで江戸時代に栽培が広まると、あっという間に人々の生活に普及しました。

「日本の綿の自給率って知ってますか?」という質問には、参加者も答えになかなか困っていました。お二人から「ほぼ0%」という正解を聞いた時は参加者全員に驚きの声があがりました。でも、安全安心な綿を日本でも育てようという人がいるというお話をしてもらいました。参加者のみなさんにも綿の種のプレゼントがあり、植え方も教えてくださいました。

いよいよ、みなさんがお楽しみのワークショップ。
まず、「綿から種を取ってみよう」ということで、それぞれ綿をちぎって種を取り出します。手で綿を取り出すのは慣れないこともあり、みんな苦戦しています。めづちゃんから「Tシャツを1枚つくるのに200個のコットンボール(綿の実)が必要」というお話をしていただいて大変さがよくわかりました。次にハンドカーダーを使ってカーディング(綿をふわふわにする行程)を行いました。そして、カーディングした綿を丸めて紡ぎやすいように細く整えた棒状の糸である篠(しの)を作っていきます。これも結構難しい。

その後「昔の道具を使ってみよう」ということで、部屋の前に展示してあった綿繰り機や綿弓を講師のお二人がわかりやすく使い方を教えてくださいました。こどもたちも見たこともない道具に好奇心をくすぐられていました。実際に使ってみて、先ほどまで大変だった種の取りはずしなどの作業も、道具を使うとどれだけ作業の効率が良くなるか、きれいな綿をふわふわの状態で取り出させるのかがわかって、こどもも大人も先人の知恵に敬意と驚きでいっぱいでした。


そしていよいよ「糸をつむいでみよう」ということで、スピンドルを使って篠から手作業で糸を作ってみる作業に挑戦です。意外とこどもたちが器用で、くるくる回してきれいで細い糸を作っていました。みんな休憩時間を忘れて糸をつむぐのに必死です。出来上がった糸を巻いて、世界にひとつだけのストラップを作りました。

最後にこの講座のメインである「ミニコースターを織ってみよう」ということで、まずめづちゃんといづちゃんから織物と編み物の違いを教えていただきました。編み物は伸びる、織物は基本的に伸びないというのが一番大きな違いだそうです。そして、裂き織り(※)という織り方を説明していただき、さっそくチャレンジ!こどもたちは思い思いの色を選んで織る順序、つむいだ糸をどこに織り込むかを真剣に考え、根気がいる作業でしたが、みんな時間を忘れて織っていました。だんだん残り時間も少なくなっているなかで、最後は家族で協力して仕上げていきました。
※裂き織り…傷んだり不要になったりした布を細く裂いたものを緯糸(よこいと)として、麻糸などを経糸(たていと)として織り上げた織物




綿からコースターを作るまでにこれだけの手間暇がかかることもわかったけど、みんなきれいなコースターが出来て大満足でした。

今回の講座を受けて、こどもたちからは「家にもはたおりきがあるから 今日家にかえったら はたおりきで 世界にひとつのぬのを つくります。」「日本には作られるわたの量 じきゅうりつ はほぼ0%だったことを知りました。おどろきました。」、大人からは「子どもが織物に興味があり、今回参加させていただきましたが、綿についての話など、私にもとても興味深く学びがありました。」「大変だったけど、達成感や、物の大切さ、手作りのものへの感謝への気付きがあり、親子で大変勉強になりました。」という感想が寄せられました。


また、講師のめづちゃんといづちゃんも、こどもたちが地域での体験を通して「ものづくり」や環境問題、歴史などを楽しく学べる機会を提供できて嬉しいとおっしゃっていました。今回の講座では、改めて綿について大事なことを学ぶ機会となりました。きっと、それぞれの家庭で綿や糸について話すきっかけになっていることと思います。