11月15日に「スキつづ。」の第6弾として、出張ischool for kids スキつづ。「いこま電車ゼミin大阪上本町~ならしかトレインの車両内で専門家の話を聴こう!」を開催しました。
ischool for kidsとしては初の市外での講座で、なんと近鉄大阪上本町駅に停車中の「ならしかトレイン」(ダイヤが公表されていない、いつ現れるかわからないレア電車です!)の1両貸切で、車両の中で講座を開催する新しい試みでした。
今回は午前、午後と2部制で講座を開催しましたが、2つとも講師も内容も違うスペシャル版で実施し、近鉄電車や鉄道について学びました。
第1部

第1部「近鉄電車と鉄道のあゆみ」の講師は奈良大学 教授の三木 理史(みき まさふみ)さん。7組13名の方が参加されました。
たくさんの電車の写真を見せていただきながら、近鉄電車と沿線の歴史を教えてもらいました。

まず、近鉄電車の特急車と通勤車の違いを先生が聞かれました。「色、速度、停車駅、特急料金などいろいろありますが、それだけでしょうか?」みんなが悩んでいると、先生から「電気機器と空気機器の配置も左右が逆なんですよ。」と教えていただきました。また、特急車は色も多彩だけど、通勤車は地味な色合いだと写真を見せていただきました。確かにそうですね。

近鉄電車の大きな特徴は、路線延長が500kmを超えるという、民間鉄道では日本最長です。その路線は大阪、京都、奈良、三重、愛知の2府3県にまたがっていて広域化しています。先生から「ちなみに近鉄の一番最初の路線は前身である大阪電気軌道が1914年に開業して、ここ(当日の講座場所)上本町から奈良までだったんだよ」と教えていただいたら、みんな驚いていました。

次に、新旧の生駒トンネルについてお話いただきました。奈良線のハイライトは断然、生駒トンネルだということです。生駒トンネルは、国鉄(現在のJR)が越えられなかった生駒山を近鉄は長大(ちょうだい)トンネルと呼ばれる、当時日本で2番目に長いトンネルとして貫通させました。これが旧生駒トンネルです。
しかし、旧生駒トンネル断面が狭くて大型車両が通行できないこともあり、1964年に現在の新生駒トンネルが開通され、旧生駒トンネルは使用されなくなりました。確かに生駒トンネルは奈良線に乗っていると長い時間楽しめますが、そんな歴史があったんですね。

そして、近鉄の前身である大阪電気軌道は、路線としてさらに東を目指しました。「ゆくゆくは、東京まで路線拡大を考えていたのかも知れませんね。」と先生が話されると、みんな驚いていました。まずは名古屋を目指して、大阪電気軌道の子会社である参宮急行電鉄(さんぐうきゅうこうでんてつ)を設立し、専務取締役の井内彦四郎さんが先導役として路線規模拡大を目指しました。会社としてもすごく、夢がありますね。

こんな風に長距離の電車を走らせるには、特急列車にいろいろな設備を整えました。トイレ、クロスシート、食事ができる設備などです。一番、特徴的なのは二階建て車両ですね。みんな、「うん、うん」とうなずいています。
鉄道が好きな人にとっては、近鉄は興味津々の電車ですね。

そして、いろいろな近鉄電車の写真を見せていただいたあと、三木先生ご自身の鉄道歴をお話いただきました。
大阪府羽曳野市でお生まれになって、小さい頃から羽曳野の古墳群よりも近鉄古市車庫に興味があって、毎日のように電車を見に行っていたそうです。
そして、高校に進学されてからは鉄道研究部に入られて、仲間と一緒にさらに活発に鉄道研究を進められました。その頃から、行く前の日に車庫に電話して、どんな電車が見られるか調査するようになりました。
最後に先生から「近鉄の社員の方々と仲良くなったら、もっといろんなこと教えてもらえますよ」とアドバイスをいただいて、参加者の皆さんも「なるほど」とうなずいておられました。

アンケートでは「いろいろ近鉄のひみつや初めて知ったことが多くてよかったです。」「また同じような、電車にかんするイベントにさんかしたいです。」という、ご意見をいただきました。さらに近鉄電車のことを好きになってくれたら嬉しいですね。
第2部

第2部「生駒を走る電車ゼミナール」の講師は伊丹市立伊丹ミュージアム学芸員の伊藤 忠章(いとう ただあき)さん。7組18名の方が参加されました。
生駒市内を走る近鉄沿線の歴史に関することを中心に近鉄電車に関するメカニズム的なことも教えてもらいました。

まず、生駒駅についてお話していただきました。生駒駅は「奈良線」「けいはんな線」「生駒線」だけでなく、「生駒ケーブル」までが合流・分岐する一大ジャンクションだということです。
確かにケーブルカーまでつながっている駅は珍しいですよね。

近鉄奈良線ができる前は、関西で一番通るのが厳しいとも言われた急こう配な坂である「暗峠」(くらがりとうげ)が奈良と大坂を結ぶ最短距離で、仕事で利用する人も多かったのですが、旅行者も通っていました。その中の一人が松尾芭蕉だそうです。芭蕉が弟子同士のトラブルを取り持つために、自分が病気のなか暗峠を越えて伊賀から大坂へ行ったときに心労がたたって、そのまま客死しましたということを教えてもらいました。
参加者からも「暗峠のことは初めて知りました」との感想もありました。

次に、今年が「信貴生駒電鉄」が開業して100年ということで信貴電のお話をしていただきました。信貴電は昭和20年代、生駒と王寺をつなぐ鉄道路線で車両も駅のホームも1両の長さだったそうです。それが昭和37年ごろになると、駅の周辺が宅地開発されて利用者が急激に増えたので、車両も3両に増結しました。
でも、ホームは1両の長さだったので、駅に着くと電車のドアは中央の車両だけ開いたということです。降りる人は大変だったでしょうね。

最後に、日本最初の営業用ケーブルカーである生駒ケーブルについて教えていただきました。1918年に、最初は鳥居前から宝山寺までの「宝山寺線」が開業しました。その後、1929年に生駒山上遊園地が開園して、宝山寺から生駒山上までの「山上線」が開業しました。今の路線になりましたね。
そして2000年には、みんなにすっかりおなじみになった宝山寺線の「ブル」と「ミケ」、山上線は「ドレミ」と「スイート」という新型車両が投入されました。もう、25年もたつんですね。伊藤さんが「ブル」と「ミケ」のことを話されると、みんなうなずいていました。

アンケートでは「自分の鉄道の将来に向けてがんばりたいと思った。」「鉄道マスターになりたいです。」などと、伊藤さんのお話を聞いて、こどもたちが好きなことをさらに追いかけていきたいという意見をくださいました。
今回は近畿日本鉄道と生駒商工会議所のご尽力で開催されている「電車 DE(で) いこマルシェ in 大阪上本町駅」といっしょに開催したこともあり、ほかの車両では生駒の名産品のショッピングも楽しめ、活気あふれる講座になりました。
近鉄といえば、誰もが何度も乗車したことがある鉄道です。これを機会に地域の歴史や産業、交通により一層興味を持って欲しいです。
参加者のなかにも電車好きのこどもたちも多く、大人顔負けの知識で質問されている瞳は、本当に生き生きと輝いていました。

今回は「スキつづ。」シリーズの第6弾「電車」についての講座でした。
好きなことを見つけるのはまずは経験や体験です。こどもたちには、これから先もたくさんのことを体験していってほしいと思います。そうしたなかで、なんかこれ好きかもと思える機会がたくさんあることを願っています。また大人たちは、そんなこどもたちに「スキをつづけていいんだよ。」とそっと肩をたたくように、こどもたちの個性を尊重し、得意なことに興味を持つことを応援してあげて欲しいです。好きなことを見つける旅は永遠に終わらないですから。

