子どもの性や性教育との向き合い方

レポート

学びクリエイターの岩城です。

8月25日、「子どもの性や性教育との向き合い方」をオンラインで開催し、市内外から60人以上の方が参加しました。

講師は、元養護教諭で現在は性教育講師として活躍されている、にじいろ先生。「性教育は健康教育・安全教育・人権教育」をモットーに、包括的性教育について全国各地で講演をされています。

「性教育」と聞くと、第二次性徴や妊娠・出産の仕組みといった内容を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。もちろん、そういった身体の発達を知ることも大切。でも、そこに特化してしまうことで、「性」は子どもには隠すべきこと、ちょっと恥ずかしいことのように扱ってきてしまった部分があるかもしれません。

そのため性教育は、「いつからはじめればいいんだろう」「早すぎるかな」とタイミングに悩んだり、自分で教えるのはハードルが高いと感じたりして、子どもに必要なことと分かっていても、取り組むことにはためらいがちですよね。

今回にじいろ先生にお話しいただいたのは、身体の発達だけでなく、人権の尊重をベースに、人間関係や性の多様性、ジェンダー平等、暴力と安全確保など幅広いテーマを学ぶ包括的性教育。「いつから?」「どんなタイミングで?」と悩む保護者に、にじいろ先生は「いつからでも、赤ちゃんからでも!」「家庭だからこそ伝えるチャンスはいくらでもある!」と、ポジティブな言葉で伝えてくれました。

私たちはつい「子どもにどう教えるか」を考えてしまいがちですが、にじいろ先生のお話を通して、「大人がどう行動するか」が大切なのだということに気付かされました。特に「境界線(バウンダリー)と同意」については、参加者からも印象に残ったという感想がたくさん寄せられました。

子どもも一人の人間。子どもの身体や心は親のものではなく、子ども自身のものとして尊重すること、これが意外とできていないなと私自身も振り返ることができました。

親子に限らず、こういった自他の境界線と同意の重要性をしっかり理解できていれば、不同意性交などは言うまでもなく、スカートめくりや盗撮、音楽フェスでのアーティストへの接触や他人のメダルを勝手に噛むなどの行為が、ちょっとしたいたずらや冗談ですむものではなく、相手の尊厳をとても傷つけるものだということが分かると思います。悪意なく加害者になってしまうことのないよう、しっかりと身に付けておきたい人権感覚の一つですね。

また、性に関することをタブー視したり、汚いこと、恥ずかしいことのように印象づけてしまうのではなく、ポジティブな言葉で、大切なこととして普段から話せる関係を作ることも大切だと思いました。まずは私たち大人の意識を変えることからはじめたいですね。

最後に私から、「これからは包括的性教育を伝えていく側に回ってくださいね」と、参加者の皆さんにお伝えしました。
普段の子どもとの関わりの中ではもちろん、ママ友・パパ友とのちょっとした会話や、学校の先生とのやりとりの中など、日常のあらゆる場面で、今回学んだ内容を「こうなんだって」「私はこうするようにしたよ」と伝えることで、包括的性教育をじわじわと浸透させていってもらえると嬉しいです。そういった「学び合い」がこれからも生駒市の中で広まっていくことを期待しています!

にじいろ先生おすすめのブックリスト

●にじいろ先生が著作・制作協力されている本
にじいろ『10代の妊娠』合同出版
たきれい・にじいろ『性の絵本6』キンモクセイ
アクロストン『思春期の性と恋愛 子どもたちの頭の中がこんなことになっているなんて!』主婦の友社
●子どもと一緒に学び直す
フクチマミ・村瀬幸浩『おうち性教育はじめます』
●プライベートゾーン
遠見才希子『だいじだいじどーこだ?』大泉書店
安藤由紀『いいタッチわるいタッチ』復刊ドットコム
サイトウミユキ他『おしえて!くもくん』東山書房
●子どもに妊娠の仕組みを伝える
(低学年)
浅井春夫他『あっ!そうなんだ!性と生』エイデル研究所
安藤由紀『ハグして!』岩崎書店
遠見才希子『あかちゃんがうまれるまで』童心社
(高学年)
人間と性教育研究所『イラスト版10歳からの性教育』合同出版
高橋幸子『サッコ先生と!からだこころ研究所』リトルモア
おのえりこ『みい子セレクション きゅんきゅん女の子のないしょ話』小学館
遠見才希子『わたしの心と体を守る本』KADOKAWA
●男の子の性教育
『知ってる?おちんちんのフシギ マンガおれたちロケット少年』子どもの未来社
染矢明日香『マンガでわかるオトコの子の性』合同出版
やまがたてるえ『13歳までに伝えたい男の子の心と体のこと』かんき出版

学びクリエイター

岩城 はるみさん
生駒市在住、アクティビスト。高校教諭として働いていたが、第二子出産を機に退職し、子育て支援事業をスタート。ベビーマッサージ教室やカメラ教室「KOJIKA no Ouchi」を展開するとともに、「子育てしやすい社会へ」をコンセプトとした「Alright Baby」プロジェクトを手がける。
子育てにおける様々な社会問題と向き合う中で、その根底にはジェンダー問題が深く関わっていると感じるように。昨年4月から大学院で子育てとジェンダーの研究をはじめ、子育て応援メディアでジェンダーについてのコラムを執筆するなど精力的に活動している。

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