ischool for kids スキつづ。「広告コピーを書いてみよう!現役コピーライターから学ぶ!広告コピーから本の帯の作り方」

レポート

8月22日に「広告コピーを書いてみよう!」の講座を開催し、親子で13組16名の方が参加されました。講師は生駒市出身で株式会社電通関西支社の現役コピーライター、田中 真輝(たなか まさき)さん。今回は色々な広告コピーを紹介していただいて、広告コピーの見方、面白さ、書き方などを教えてもらいました。

そもそも、コピーって何でしょう。あらためて、田中さんはAIに聞いてみたそうです。すると、コピーの語源は「書き写す」、広告における「コピー」は、キャッチフレーズや広告文だということでした。

事前に参加者から「好きな広告コピー」を聞いていたので、選んだ広告コピーと理由を聞かれました。サントリーBOSSの「甘くないオレ」を選んだ男の子は理由として「甘くないカフェオレという商品の説明と俺(オレ)はそんなに甘くないんだよ、ということが伝わってきます。」と答えて、田中さんも「コピー作者のダブルミーニングまで見通してるのがすごい!」と驚かれていました。

そのあと、田中さんから「これは何のコピーだと思いますか?」とちょっとしたクイズを出されました。そのコピーは「地図に残る仕事。」…ちょっと難しいかな?正解は大成建設のコピーでした。なるほど。建設会社の仕事って、地図にも歴史にも残りますよね。このコピーはSNSでも話題になったらしく検索してみると、このフレーズに憧れて大成建設に入社した人のサイトもあるくらい。あらためてコピーの力のすごさがわかりました。

他にも結婚情報誌「ゼクシィ」は「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです」というインパクトのあるコピーだそうです。どの企業も広告コピーに力を入れていることがわかりました。

田中さんから最近、ご自身が企業から依頼されて作られたコピーを紹介してくださいました。それは「いつもあるのに、いつもあたらしい。」これって何の広告コピーだろう?答えは誰もが知っているミスタードーナツでした。ミスタードーナツといえば、「いいことあるぞ ミスタードーナツ」が有名ですが、この度、創業55周年を迎えて変更。新ブランドスローガンとして採用されたそうです。参加者も「うん、うん。ミスタードーナツってそうだよね。」と納得するコピーで、きっとこの新しいコピーもすぐ定着すること間違いなしです。

様々なコピーの紹介の後は、コピーの作り方のポイントについて教えていただきました。まず、「心が動く」ときは「気づいた」とき。いいコピーは「言われてみれば確かにそうだ」と気づきになる言葉だそう。田中さんのミスタードーナツのコピーは、まさにその通りです。

そして、「実際にコピーを作ってみよう」ということで、「人の心を動かして行動を促す言葉」が作り方のポイントだと教えていただきました。まず「モノを見る(よく観察する)」こと。モノのほんとの魅力、これがあるとどんないいことがあるか、を考えます。次に「ヒトを見る」こと。ヒトを見るということは、どんなときいちばん「いいな!」と思ってもらえるか。そして、どう言えば他にはない、あなただけのいいところになるかがキーポイントになります。

いよいよ、田中さんからコピーのテーマが発表されました。それは「自分のコピーを作ってみよう!」 まず、ステップ1として、自分のいいところ、人と違うことを書き出してもらいます。その中で自分が思う一番いいところを選んでみます。次に、ステップ2として、自分のいいところが伝わる言い方を考えます。参加しているみんなも真剣に考え始めました。「自分のコピーをつくる」という難しいテーマでしたが、みんな自分のことを客観的に見ながら、田中さんから教わったポイントを参考に感性豊かにコピーを作りあげていました。

「1ミリの指のずれが自分だけの音を生み出す。バイオリン」「クラスの中で5番目に走るのがはやい。」など、ユニークなコピーも多くできました。

そして、作ってくれたコピーに田中さんから1作品ずつ講評をいただきました。「大好きなカレー ずっとスプーンで食べていたい」には「すごく情景が浮かびますね。」

「聞き上手な人の話が聞きたい。」には「聞き上手な人の話はなかなか聞き出すことができないけど、そんな人の話を聞いてあげたい優しさと気遣いができる人ですね。」とコメントをもらって、参加者も嬉しそう。

今回書いてもらった「自分のコピーを作ってみよう!」というテーマは、自分自身が知らなかったステキな部分を気付かされたり、自分でも気づかなかったステキな部分に誰かに気づいてもらうおもしろさがあることを教えていただきました。

最後に生涯学習課で10月から新しく本の帯のキャッチコピーやデザインを作って競う「帯ワングランプリ」の募集が始まることもあって、「本の帯づくり」についてお話いただきました。本の帯の幅ひとつとっても、本のカバーに描かれた絵や文字を邪魔しないような細いもの、カバーを覆い隠すくらいのとても太いもの、など自由にアイデアを発想する楽しさがあります。ですので、今日学んだことを思い出して、個性豊かな本の帯を作ってみましょうとお話いただきました。

今回は「スキつづ。」シリーズの第5弾「広告コピー」についての講座でした。

参加してくれたこどもたちからは「広告コピーにきょうみが持てました。進路へのいい参考になりました!」「今日広告コピーが書けて、いこま帯ワングランプリに出たいと思った。」という声をいただき、大人からは「息子と一緒に自分の性格について考えてみたり、向きあう時間になり、夏休みのステキな時間になりました。」「言葉を大切にしたいなと思いました。言葉が大好きな娘にとっても、人生を豊かにしてくれる講座だったと思います。」という意見をいただきました。

こどもたちも大人もあらためて「ことばの大切さ」や表現の仕方を考え直す機会になりました。

好きなことを見つけるのはまずは経験や体験です。こどもたちには、これから先も田中さんから学んだ言葉で伝えることの大切さを意識しながらたくさんのことを体験していってほしいと思います。そうしたなかで、なんかこれ好きかもと思える機会がたくさんあることを願っています。また、大人たちは、そんなこどもたちに「スキをつづけていいんだよ。」とそっと肩をたたくように、こどもたちの個性を尊重し、得意を応援してあげて欲しいです。

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