9月13日に新企画!昭和100年「ザ・昭和歌謡ヒットパレード」~歌詞やメロディから当時の音楽や生活を紐解く~ を開催し、80歳代までの幅広い世代の24名の方が参加されました。講師は現役大学生のお2人。生駒市の友好都市である敦賀市出身で地元敦賀では民謡を広めるためNPO法人を立ち上げたり、今は大学に通いながら演歌歌手のマネージャーなど、いろいろなことに挑戦されている森野巧巳 (もりのたくみ)さんと、京都の出身で「エレクトーン博士ちゃん」としてテレビ朝日系列「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」の昭和歌謡特集に出演されたり、今は音楽大学に通いながら、いろいろな音楽イベントに出演されたり作曲活動をされている井上暖之(いのうえはるゆき) さん。今回は昭和100年ということで昭和歌謡をテーマに、「音楽のまち・生駒」で幅広い世代が交流しながら、音楽文化に触れる楽しみと喜びを得られる機会として開催しました。

まず、第1部は、面白いだけでなく、面黒い?ディープな昭和歌謡について、特に歌詞や背景について森野さんからお話していただきました。

昭和歌謡の特徴は、ご当地ソングが多かったこと。会場のみなさんは昭和世代の方々が多かったので、懐かしそうにうなずいています。当時は歌のヒットで地域が活性化することも多く、青江三奈さんの「伊勢佐木町ブルース」のヒットでもともと「長者町駅」になる予定だった駅名が「伊勢佐木長者町駅」に変更になったり、島倉千代子さんの「襟裳岬」のヒットで町名「幌泉町」が「えりも町」に改称されたり、歌が及ぼす影響が大きかったんですね。森野さんは裏話もよくご存知で、生まれていない当時の事を現場で見てきたかのように語る姿に、思わず井上さんからツッコミが入ります。

また、「○○」(←ここでは伏字にさせてもらいます)なんて使ってはいけない俗語がタイトルと歌詞に出てくる楽曲も紹介され、みんなビックリ!でも、実際に聴いてみたらとてもいい曲で、さらにビックリしました。次々とディープな曲を紹介していただいたので、メモをとられている参加者も多かったです。
森野さんのディープな講義の流れのまま1回目のブレイクタイムとして、ヒロシ&キーボーの「3年目の浮気」を当時っぽいカラオケで披露することに。この曲を歌うためにスーツを着てこられた森野さんと職員の五十嵐さんのお2人が仲良くデュエットしてくれました。当時は意識せず歌っていた人も多かったと思うのですが、改めて聴くと、コンプラ違反な内容です!10代、20代のお2人の「3年目の浮気」はとても新鮮で不思議な感じがして会場は大盛り上がりでした。森野さんは踊りがうまいだけじゃなくて、歌もとってもうまいんですね!

そして、休憩をはさんで第2部に突入。今度は昭和歌謡のメロディについて、井上さんから演奏を交えてお話していただきました。
まず松田聖子さん・中森明菜さんの楽曲の比較で、メジャーな曲とマイナーな曲の違いをわかりやすく教えてもらいました。見事に松田聖子さんはメジャーな曲、中森明菜さんはマイナーな曲ばかり!

井上さんならではのピアノでの解説には、参加者は思わず「まってました!」と心の中で声をかけていたかも?童謡「森のくまさん」がマイナー調になると、すごく怖いくまさんの印象になることを実演してくださいました。
また明るい和音と暗い和音を合わせ持ったアンニュイな響きになるセブンスコードについても教えてくださいました。このセブンスコードを多用した代表曲は寺尾聰さんの「ルビーの指環」でこの曲がとってもオシャレに聴こえるのはコードも関係していることがわかりました。さらに、ヨナあり音階/ヨナ抜き音階(4番目(ファ)・7番目(シ)の音の有無)やメロディーの工夫によって男女の揺れ動く感情や価値観の違いを表現している太田裕美さんの「木綿のハンカチーフ」についての話は少し難しい内容なのに、専門知識がない人にもわかりやすくお話してくださいました。なお、森野さんは「木綿のハンカチーフ」は敦賀から東京へ行った自分の歌だと思っているんですって。
その後は、曲の中でサビや印象に残る部分はどこか?など「なるほど!」と思う昭和歌謡の紹介をたくさんしていただきました。

メジャーやマイナー、コードについて学習した流れのまま2回目のブレイクタイムで、職員の松田さんが秋の切ないマイナーコードな曲をギターで演奏してくれました。(オフコースの「秋の気配」、山口百恵さんの「秋桜」、久保田早紀さんの「異邦人」)。「秋桜」「異邦人」は先程の五十嵐さんが歌いました。これから迎える秋を感じられる演奏でとても感動的でした。

そしていよいよ第3部は講座の締めくくりとして、参加者の方々から事前にお伺いしていた「あなたの一番好きな昭和歌謡」の中から何曲か聴いて、当時を思い出しながらあの頃の自分に戻って講座は終了を迎えることに。……(1)「Get Wild」TM NETWORK、(2)「川の流れのように」美空ひばりさん、(3)「さよならの向こう側」山口百恵さん、(4)「バス・ストップ」平浩二さん、(5)「みだれ髪」美空ひばりさん、(6)「私の彼は左きき」麻丘めぐみさん。
自分があげた楽曲が選ばれた人はめちゃくちゃうれしそうです。メロディに合わせて身体をゆらして聴いたり、目を閉じたまま聴いている参加者も多く、なかにはなつかしさのあまり涙ぐんでいる人もいました。

今回の講座を受けて、参加者から「10代20代の森野さん、井上さんが昭和歌謡を話す視点が面白くとても楽しかったです!!」「ふだんあまりきく事のなかった歌をきくとても興味ぶかい時間でした。うらばなしもおもしろかったです。好きになる事でここまではまる事がうらやましいです。」「サビがどこ?とか、イントロの雰囲気がどんなの?など考えたことなくきいていたので、新しい曲のきき方を学んだ気がします。曲の構造や、ジャンルごとの歴史など井上くんの話がすごくおもしろかったです。」など多くの感想が寄せられました。

今回の講座は初の試みとして、どなたでも参加できる、幅広い世代を対象に実施しました。講師をしてくださった森野さんと井上さんは18歳、20歳とは思えないくらい、年齢を錯覚するほど知識も豊富でした。若いお2人が講師をしてくださることで、世代間交流をはかっていただける機会やきっかけ作りになったのではないかと思っています。
この講座をきっかけに、みなさんも、改めて昭和歌謡からいろいろ学んでみたり、積極的に若い世代の方と交流していただくようになればうれしいです。
それにしても昭和歌謡って、いいですね!もしかしたら第2弾もあるかもしれないですね!