7月12日に「ツバメ少年から学ぶ!好きなことを深める講座」を開催し、親子で19組46名の方が参加されました。講師は生駒市内でツバメ観察を続けている「ツバメ少年」の荻巣樹(おぎす いつき)さん。今回はツバメの生態や繁殖についてや興味のあること、好きなことを深める事の面白さを3部構成でお話いただきました。

まず、第1部はツバメについて教えていただきました。日本でみることのできるツバメは、ツバメ、イワツバメ、コシアカツバメ、ショウドウツバメ、リュウキュウツバメの5種類がいること。また、ツバメの大きさは全長約17センチ、体重は平均18グラム、体温は40度くらい。オスとメスでは、しっぽの羽の長さがオスの方が長くて、長いオスほどモテるそうです。


ツバメは「夏鳥」と呼ばれる渡り鳥で、東南アジアから日本へ移動するのですが、その距離は2,000~5,000キロだということで、大変!
ツバメの巣は泥と枯れ草が材料で、新しいおうちは1週間ほどで完成するそうです。古い巣を再利用するリフォームもあるそう。みんな「なるほど~」とうなずいています。
卵を産むのは4月頃からで、平均5個。ふ化した時は、まだ羽が生えていないのですが、だんだんかわいくなってきて、巣立ち前がとてもかわいいとのことです。ツバメ観察をするなら、その時期が一番よさそうですね。

ツバメは古くから身近な鳥で、平安時代に書かれた竹取物語にも出てくると聞いてびっくり!プロ野球の東京ヤクルトスワローズのマスコットキャラクターはかわいらしいツバメの「つば九郎」。また、速さのシンボルとして、新幹線の名前にもなっていることも紹介してくださいました。


荻巣さんは、生駒駅前のグリーンヒルいこま3階を中心にツバメの観察をされています。生駒市がツバメにとって住みよいのは、山や川があってエサに困らないところ。さらにグリーンヒルいこまは雨風をしのげて、夜にシャッターが閉まるので、より住みやすいことを教えてもらうと、みんなうなずいています。今はグリーンヒルいこまにツバメの巣が20個以上あるということです。(※7月12日時点)
観察していると、オスがエサを取りに行くのであまり巣にいない分、メスが巣を守っているという役割分担がよくわかるそうです。

荻巣さんは、さらにツバメを深く知りたくて短期留学に行った話もしてくださいました。「トビタテ!留学JAPAN」という文部科学省の留学促進キャンペーンを活用されてフィリピンのセブ島、マクタン島、オランゴ島に行かれました。そこでツバメがよく飛んでいたのは、意外なことにハエなどが多いゴミ捨て場だったそうです。
現地でアンケート調査をしているとフィッシング詐欺と間違われたこともあったり、アメーバ赤痢にかかり入院したりで大変だったそうです。でも、ツバメの英語版パンフレットを作って配ったり、看護士さんにアンケートをとったりした荻巣さんの行動力にみんな驚いています。


ツバメの生態などを学んだあとは、休憩を挟んで、第2部のツバメのペーパークラフト作りです。まず、太いストローを先から折り曲げる部分の上まで切ります。そして、ツバメの絵も切っていきますが、みんな一生懸命にていねいに切っています。


太いストローと細いストローを切って合わせて、羽をホッチキスで固定して完成。みんな、上手にできてストローを引っ張って羽をパタパタさせてニコニコしています。また、ペーパークラフトを作ることで、ツバメの骨格や羽が動く筋肉についても学ぶことができました。


最後に、第3部は「好きを深めるとは?」ということで荻巣さんの「好き」の歴史を語っていただきました。

荻巣さんは小学校低学年から昆虫に興味を持って、特にカマキリが大好きだったそうです。自宅でカマキリ数千匹をふ化させて怒られたことも!?
ツバメ観察は2018年から始めて、双眼鏡を持って観察していると不審者に間違われたこともあるそうです。
自分のやりたいことをつき進めて良かった!とおっしゃったのが印象的でした。

最後に野鳥の観察の楽しさをもう一度、教えてくださいました。野鳥を好きになって観察を続けると「運動になる」「歩いている時間が楽しくなる」「人と話すネタにもなる」など色々メリットがあるそうです。みんな興味津々で聞いていました。

講義が楽しかったこともあり、いつも以上に質問もたくさん出ました。「ツバメってミツバチを食べて刺されないんですか」という質問に「食べるけど、刺さないオスを選んで食べているという説もあります」など、こどもたちの率直な疑問にも丁寧に答えてくださいました。
今回の講座を聞いて「ツバメにきょうみをもちました」「ツバメをまもるにはツバメの食べものである虫もたいせつにして、まもらないとダメなんだなと思いました」などの感想があり、こどもたちもすごく関心をもったようです。
大人も「いろいろな子どもたちの、疑問、考え方、視点が聴けたり、それに丁寧にわかりやすく答えてくださる荻巣先生のお話もおもしろかった。」「ご自身の体験を楽しく聞かせていただきありがとうございました。とてもいいお話が聞けました。」「とても良い企画・講座でした。今後も続けてほしいです。」などと好きなことを続けてこられた荻巣さんから学ぶことが多かったようです。
また、ツバメをはじめ野鳥に興味をもったり、野鳥をまもるためには環境のことも大事なんだということも考えるきっかけとなったと思います。