“世界一幸せな国”から考える コドモとオトナの関係性

レポート

学びクリエイターの奥田です。

11月12日に「“世界一幸せな国”から考える コドモとオトナの関係性」を開催。大人と子ども合わせて17人が参加し、デンマークで生まれた「森のようちえん」を事例に、子どもの自主性を育むコミュニケーションについて、みんなで考えました。

当日の会場は、店内の装飾にどこか北欧らしさが感じられるカフェ「パンと喫茶のお店ミカクロ」。店内を2つのスペースに分け、大人と子どもが別々に座りました。親子が同じ空間にいながらも、大人は対話、子どもはモビール(デンマーク発祥の紙製の吊るし飾り)づくり、という別々のことをしながら過ごしました。

ゲストは、「青空保育あひるの森」を仲間と立ち上げ、子育てアドバイザーとしても活躍されている友村さおりさん。

友村さんから「今日は、大人と子どもの両方が、思いっきり学べるようにするにはどうすればいいかを考えながら過ごしてほしい」と参加者の皆さんに伝えてから、講座がスタートしました。

すると、友村さんの声掛けによって、子どもたちが「大人が学べるように、自分たちはどう行動しよう」と意識するようになったんです。子ども同士でにぎやかに遊びながらも、走り回ったり騒いだりすることはありませんでした。この様子を目の当たりにした大人たちは、「声掛け一つで子どもの振る舞いが変わるんですね」と驚いていました。

次に私から、デンマークの家庭教育、森のようちえん、親離れや子離れの時期、ギャップイヤーなどの事例を取り上げ、子育ての特徴について話しました。デンマークには、自主性を重視する考え方、ポジティブな個人主義、「今」を大切に生きる価値観があり、それが子どもとのコミュニケーションのベースになっているんです。

続いて友村さんに、「青空保育あひるの森」を立ち上げるに至った経緯や、そこでの実践などをお聞きしました。友村さんの話のキーワードも「子どもの自主性」。子どもと接する大人こそ、「子どもに手を貸しすぎない」「子どもを信じて任せる」といった意識改革が必要なんだそう。参加者の皆さんにとっては、日頃の子どもへの接し方を振り返る機会になったようでした。

最後は、全員で対話しました。その中で、参加者のお一人から、「ぜひ皆さんに聞いてもらいたくなりました」と、絵本の読み聞かせをしたいという提案がありました。その方が読んだのは、「あなたのすてきなところはね(KADOKAWA)」という絵本。優しい語り口に大人も子どもも静かに聞き入りました。
参加者がこの日の学びに感化され、自らも学びを提供されたことは、まさに「デンマークにおける自主性を大切にする教育」が実践された瞬間でした。

参加者の皆さんからは、
「友村さんの話の中で、『お母さんはもっとダメになっていい』と聞き、肩の力が抜けました」
「子どもの考えていることについて、考えてみる。間を待つことをまずは実践してみようと思いました」
「皆さんの子育ての悩みに共感する部分が多く、対話ができてよかったです」
といった感想が寄せられました。

大人が学べば子どもも学び、大人が楽しめば子どもも楽しみます。今回の講座では、学んでいる大人の横で、子どもたちも学びながら個性あふれるモビールを完成させ、それぞれが心地よい時間を過ごすことができました。
今後は、これまでの講座に参加され、デンマーク流の対話を体験された方々が、その学びをどのように日常に取り入れているかを聞く機会もつくりたいと思っています。

学びクリエイター

奥田 陽子
生駒市出身。関西学院大学経営戦略研究科修了(MBA)。
2020年8月から4ヶ月間デンマークの成人教育機関「フォルケホイスコーレ」に留学。
2022年には、フォルケホイスコーレと、デンマーク発祥の森のようちえん、自由教育大学などを視察。対話と社会課題解決への関心を持ち、「生駒ホイスコーレ」の設立を目指す。

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