ミライの教室「親子でアート 新年の抱負を墨でかこう」

レポート

ischoolの「ミライの教室」は、わたしたち一人ひとりの可能性とチャンスを広げるための、知恵やスキル、つながりを得る場です。市内外で新しい学びに取り組む皆さんとともに、年間50の多様な講座を開講しています。

学びクリエイターの町矢です。
1月21日に「親子でアート 新年の抱負を墨でかこう」を開催しました。16組37人の親子が参加し、「遊書」を体験しながら書初めをしました。

形にとらわれず心のままに筆を動かして書く「遊書」には、表現を楽しむことができるという特徴があります。
この日はまず、利き手ではない手を使ったり、目をつぶったり、さらには、紙を回しながらわざと書きづらくしたりしながら、「道」という字を書いていきました。「字は美しくなければならない」という自分の中の固定概念を破る時間です。

一度、枠から飛び出ると、参加者の皆さんはそれぞれに新しい書き方を生み出し、どんどん自由に表現できるように。中には、折り目をつけた紙や、ぐしゃぐしゃにして皺だらけにした紙に書くことを思いついた人も。

お互いの字を見せ合って、あちらこちらから笑い声があがりました。子どもたちだけではなく、大人たちものびのびと自分の創作を楽しんでいるようでした。

次に、親子で対話しながら「新年の抱負」を考えていきました。
多忙な日常を送る参加者の皆さんに、この日は親子でじっくり向き合ってもらおうと、お互いが「どのような一年を歩みたいか」「どんなことに挑戦したいか」を話し合う時間をつくりました。

「お母さん、のんびり焦らず過ごしたいんや。知らなかったわ。」
「僕は今年、そろばんと漢字を頑張るから応援してな。」
それぞれの抱負が決まったら親子で一枚の厚紙に書き、家で飾ることができる作品に仕上げました。

最後は、参加者全員で大きな紙に「道」という字を書き、大きな作品をつくる時間。親子で一画ずつ交代して共同作業で一文字を完成させ、16組の違った個性の字が紙を彩りました。

画材も墨だけではなく、絵具やクレパス、サインペンの中から好きなものを使いました。筆ではなく、指を使って書く人も。

参加者の皆さんからは、
「字の書き方が無限にあって、表現する楽しさを感じました。」
「キレイに書くことではなく、自由に思うままでいいということに気づけました。」
「自由な発想を日常の中にも取り入れたいです。」
などと感想が寄せられました。

今回の参加者の中で、特に印象に残っている子がいます。「文字は嫌い。でも自由に書けるならすごく楽しい。」とだれよりも紙を使い、表現を楽しんでいた男の子。
新年の抱負を聞くと、「だらだらしたい」と言っていたのに、手元にある紙には「100点」「大会優勝」と書かれていたんです。すごく頑張り屋さんだということが伝わってきました。

口にするのは難しくても、心のままに書くことならできるかもしれません。自分に向き合って一人で書く時間もよし、だれかと心を通わせながら書く時間もよし。言葉にできないときは、文字以外の線や点などで表現してもいいんです。その時々の気持ちに合った表現を楽しんでくださいね。

今回の講座が「正解は一つじゃない、多様でいい」のだと気づくきっかけの時間になっていたら嬉しいです。

学びクリエイター

町矢 真美
一般社団法人ひらく代表、YMCA学院高等学校 非常勤講師、書家
YMCA学院高等学校にて「自己表現とコミュニケーション」分野の授業を担当。2022 年「ひらく」を設立。校舎や決まった時間割のない新しい形の学びの場「ひらく学校」では、高山町を拠点に、ものづくりや農業、食、デザインなどの体験を通して、「自分の好き」を進路につなげる多様なプログラムを開講している。
書家として、人と人とのなかで生まれる表現活動にも取り組む。
詳しくは、こちら

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