町矢 真美(まちや まさみ)

学びクリエイターの紹介

#進路 #職業体験 #ものづくり #デザイン #自然体験

一般社団法人ひらく代表、YMCA学院高等学校 非常勤講師、書家
YMCA学院高等学校にて「自己表現とコミュニケーション」分野の授業を担当。2022 年「ひらく」を設立。校舎や決まった時間割のない新しい形の学びの場「ひらく学校」では、高山町を拠点に、ものづくりや農業、食、デザインなどの体験を通して、「自分の好き」を進路につなげる多様なプログラムを開講している。
書家として、人と人とのなかで生まれる表現活動にも取り組む。

1/21(土)の「新年の抱負を墨でかこう」を企画する町矢真美さんに話をお聞きしました。

―普段は、どんな活動や講座をされていますか。

「ひらく学校」では、子どもたちが、地域の中でいろんな経験ができる機会をつくっています。例えば、これまで行ったことがない場所に行き、体験したことがないことにチャレンジしたり、職業人の元を訪れて、その生き方から学んだり。
具体的には、竹林の中で竹筒を使った炊飯に挑戦する竹林ピクニックや、田んぼで農家の方の仕事を手伝う農業体験、自分でイラストを描いてTシャツを作るデザイン教室など、さまざまな講座を開講しています。

―どんな人が対象ですか。

「ひらく学校」は、将来の進路に不安を感じていたり、自分の好きなことが見つからなくて悩んでいる高校生以上の若者を対象にはじめました。でも、どんどん参加者の年代が広がって、今は中学生もいるし、自然体験ができる講座には、小学生のご家族もたくさん参加しています。
それに、「ひらく学校」のボランティアは40~50代で、学習場所や経験を提供してくれる人はシニアが多いんです。多世代が関わっているんですよ。

―現在の活動をはじめたきっかけを、教えてください。

YMCA学院高等学校で働きはじめて、不登校の子どもたちと出会ったことがきっかけです。その子たちの豊かな才能や素直で純粋な気持ちを知ったのと同時に、高校を卒業した後に就職したとして、厳しい環境の中で幸せに働き続けることができるんだろうかと心配にもなりました。子どもたちが個性を活かして、ありのままに過ごせる場所を見つけるのは、大人が働く社会の中ではすごく難しいって思ったんです。

でも、その子たちに寄り添ううちに、不登校の若者が自分の「好き」を見つけて伸び伸び過ごせるようになったり、得意なことを生かせる場所で活躍したりする姿を見ることができました。

その経験から、子どもたちには「好き」や得意を見つける体験や、導いてくれる大人との出会いがあれば、もしいつか不安を感じることがあっても、自分の軸を持って強く生きていけるんだと確信したんです。そこで、若者たちがそういった経験を積める場所をつくろうと決め、「ひらく学校」を立ち上げました。

ー「地域の中」で体験することを大切にしている理由はありますか。

地域には、「社会のリアリティ」を感じることができる場所がたくさんあると思っているんです。例えば学校は、同級生と指導する先生という大人の存在だけで、子どもたちの社会は作られているけど、実際の社会には、多世代の人がいて、それぞれがいろんな背景を持っています。それに、限られた世界しか知らないと、視野が狭くなって閉塞感を持ってしまいますよね。

だからこそ、地域の人たちとの出会いから、さまざまな生き方を学んで、ロールモデルにたくさん触れることが大切だと思うんです。人生の選択肢を知れば知るほど、自分の生き方も広がっていくはず。いろんな人と関わりながら、本物の体験をいっぱいすることで、子どもたちにとっても自分の心が動く瞬間が見つかるんじゃないかな。

多様な経験を通して、自分自身に合ったものを見つけてもらいたいんです。私がしているのは、そのお手伝いですね。

ーいろんな人と関わることに苦手意識を持つ子もいると思うのですが、どんな工夫をされていますか。

地域の大人たちと共同で作業などをしながら、過ごす時間をつくることを大切にしています。最近では、職人の手ほどきを受けながら、しめ縄づくりをしたり、地域の人たちとお餅つきをしたりして、一緒に新年に向けた準備をしました。何か取り組むことがあると、その場で自然と交流が生まれるし、役割もできますよね。

「ひらく学校」に来る子どもたちの中には、人がたくさんいる場に参加したり、知らない人とコミュニケーションを取ったりすることが苦手な子もいるので、誰もが「そこにいていいんだ」と思える居場所になるように工夫しています。

―高山町を拠点にしている理由を教えてください。

私の小学校の恩師が高山町に住んでいて、当時、先生の家によく遊びに行っていました。大きな家で、クラスメイト10人ぐらいで。同じ市内なのに、私が住んでいた駅前とは違い、里山の風景が広がっていて、そこで遊ぶのが本当に楽しかったんです。

それから20年が経ち、先生と再会した時に「高山町は、過疎化が進み見捨てられたまち」と悲しそうにつぶやいたのが、頭の片隅に残りました。
その後、高山町で竹林整備をするご縁ができ現地に通ううちに、住む人が減って空き家が増えている、農家の後継ぎがいない、田畑や竹林の担い手がいない、といったたくさんの問題があるのを知ったんです。

そして、地域の人たちが、高山町の現状をどうにかしようと向き合う姿に動かされ、果たして自分には何ができるのだろう、と模索するようになりました。
今、私が取り組めることの一つとして、「ひらく学校」を通して高山町にある竹の文化に触れたり、自然の中で楽しむ機会をつくることで、「この環境を守りたい、現地に関わりたい」と思う人を増やしたいと思っています。

―私たちが地域の大人として、子どもたちのためにできることはありますか。

子どもたちの選択や考えが、例え大人にとっては理解が難しいことでも、尊重しておもしろがることかな。これからの時代を切り開く彼らが持っている感覚は、今を生きているからこそ出てくるもの。私たちが理屈で考えて出すものより、よっぽど信頼できると思うんです。

そして、子どもたちに教えようとしないでいいので、一緒の時間を過ごして、大人も思いっきり楽しむ姿を見せてほしいです。大人が楽しそうだとそれだけで、子どもたちにとっては将来が明るく感じられると思うんです。
それに大人自身も、心がワクワクするような「鮮度」を大切に、自分がどんなことを楽しいと思うのか、何に感動するのかに気づくことで、よりよく生きられるんじゃないかな。

―今後の目標を教えてください。

自然や土と触れ合う時間を増やしたいです。自然の中にいると、失敗や成果、効率なんかを求められることもなくて、「ただあるだけ」でいいと感じることができて、心がとても解放されるんです。
人には、自然とともにある時間がやっぱり必要なんだなと思うんですよね。そんな時間を子どもたちはもちろん、大人たちとも共有していきたいです。

そして、伸び盛りの子どもたちの成長や変化を身近で感じられること、羽を伸ばしていく瞬間に立ち会えることが本当に嬉しいので、引き続き応援したいと思っています。

町矢真美さんが企画した授業
1/21(土)新年の抱負を墨でかこう
3/19(日)週末スローライフVol.1 竹の時間

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