浜口 典子(はまぐち のりこ)

学びクリエイターの紹介

#プログラミング #21世紀型スキル

通信機器メーカー(東証一部上場)でシステムエンジニアとして約10 年勤務した後、プログラミング教室「エヌキッズ」を開校。これまでに約200 人以上の子ども達にプログラミングを指導。変化の激しいグローバル社会を生き抜くために必要な能力「21世紀型スキル」を、子どもたちが楽しみながら身に着けることができるカリキュラムを実施している。

4/23(日)に開催した「親子で学ぶプログラミング」を企画された浜口典子さんにお話をお聞きしました。

―浜口さんが運営されているエヌキッズはどのような教室ですか?

「エヌキッズ」は、プログラミングを学ぶ教室です。生徒は小学2年生から高校生まで約70人が在籍。プログラミングツールの「Scratch」やプログラミング言語「C#」を用いて基礎から応用まで、子どもたちそれぞれのレベルに合わせて教えています。

教材になる動画やテキストは、子どもたちが夢中になって学べるように工夫して、基本的には全て自分で制作しています。それに、教室の生徒が作ったゲームを教材にすることもあるんですよ。子どもたちは自分が面白いと思うものを作るので、他の子にとっても楽しく学べる最高の教材になるんですよね。

―浜口さんがプログラミングを教えるようになったきっかけを教えてください。

実は、子どもの頃は理系科目が苦手で、プログラミングを始めたのは大学生になってから。文系の学科に進むつもりが、家族に強くすすめられて理系を選択しました。なんとなく「かっこいい」と思って情報工学科に進学して、プログラミングを学ぶことになったんです。

大学で学んだことを生かしたくて、エンジニアとしてメーカーに就職。ホームセキュリティ端末の開発を担当して、10年ぐらい勤務しました。自分が担当した新商品が発売され、人の役に立っているのを実感すると、心からやりがいを感じました。
でも、とにかく休日出勤が多く、3ヶ月ほぼ休みなしだったこともあるほど激務だったんです。育児休暇から復帰して1年ぐらいは頑張りましたが、子育てと仕事の両立に限界を感じて退職することにしました。

次は定時で終わる仕事に就こうと税理士事務所で働きはじめましたが、伝票を整理したり帳簿をつけたりするような型にはまった業務内容が私には全く向いていなくて。苦手な仕事をしてはじめて、「私はものづくりやエンジニアの仕事が好きだったんだ」と気がついたんです。

そこで、システムエンジニアのスキルを活かして仕事をする方法を探しました。家族と相談するうちに、「プログラミングを教える」というアイデアが浮かび、7年前に思い切って教室を立ち上げたんですよ。

ープログラミングを学ぶと、どのような力が身につきますか。

プログラミングを学ぶことで、論理的思考力や問題解決力といった“21世紀型スキル”が身につきます。その力は、変化が激しいこれからの社会を生きる上で、なくてはならないものだと言われているんです。

例えば、論理的思考力。社会に出ると、他人が理解できるようにわかりやすく話を伝える必要があったり、身の回りの状況を踏まえて自分で考えて行動しないといけない場面がたくさんありますよね。プログラムは論理的に組み立てないと、絶対に動きません。だから、プログラミングを学ぶことで、自ずと論理立てて考えられるようになっていくんです。

―今回、ischoolで講座を企画した理由を教えてください。

以前から、子どもたちや保護者の皆さんに、プログラミングを学ぶことの意義を伝えたいと思っていました。

教室の生徒に「プログラミングってなにか知ってる?」とたずねると、ほとんどの子どもが、「ゲームをつくること」だと答えます。大人も「パソコンもプログラミングも私にはわからないけど、子どもには習わせたい」という人がとても多いんですよ。

プログラミングは学校教育でも導入され、高校では必修科目にもなっています。でも、「生活の中でプログラムがどう役立っているのか」「プログラミングを学ぶことでどんな力が身につくのか」といった本質的な部分にはなかなかアプローチできていないことに、もどかしさを感じていたんです。

―浜口さんの今後の目標を教えてください。

プログラミングを教えることで、子どもたちが「自分のアイデアを形にする」「0から1を生み出す」という経験を積むお手伝いがしたいです。

プログラミングの目的は、人間が指定した手順に沿って、機械が作業を行う“自動化”と、機械自らがルールを見つけ出して作業を行う“自律化”です。プログラムにより、ありとあらゆるものが自動化されてきました。さらにこれからは自律化され、人工知能(AI)が発達します。

私たち親世代は、将来なりたい職業がなくなるなんて子どもの頃は考えたこともありませんでした。でも今の時代、プログラムが代わりを務められる職業が増え、20年後までに約5割の職業がなくなるとか。プログラミングを学ぶことで、これは自動化できる・できないということが分かるようになれば、逆に「人間だからこそできることは何か」を考えるようになると思います。

今は芸術の分野でもAIが生み出した作品が話題になりますが、人間が作り出した素材(アイデア)を組み合わせているので、素材がなければ生み出せません。思考することができる人間だからこそ、新しい素材を作り出せるんです。スポーツで人を感動させることができるのも人間がやるからこそ。

プログラミングはアイデアを形にできる手段の一つです。
何かを生み出すことの楽しさや喜びを、プログラミングを通して体験してもらえればと思っています。

浜口典子さんが企画した授業
4/23(日)親子で学ぶプログラミング

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