古谷 晃一郎(ふるや こういちろう)

学びクリエイターの紹介

#アート #クリエイティブ

アートコーディネーター。大阪府出身、生駒市在住。大阪府立プラネット・ステーション事業コーディネーター、財団法人大阪21世紀協会チーフプロデューサーを経てフリーランスのアートコーディネーターに。住環境の良さにひかれて、昨年生駒市に転入。

みんなで羊飼いになろう」「ふしぎなひつじのお面づくり」の企画に携わった古谷晃一郎さんにお話をお聞きしました。

―アートコーディネーターとして、どのようなことをされていますか?

世の中には、素晴らしいアイデアを持っているアーティストと呼ぶべき人たちがいて、その人たちが創造力を発揮できるようにサポートすることが僕の役割だと思っています。

例えば、現在取り組んでいる仕事の一つが、大阪市のアーティストサポート窓口『なにそうだん』での相談対応。「作品を発表したいけどどうしたらいいか」「活動場所を探している」といった困りごとや、「創作意欲が湧かない」といった悩みを持つ文化芸術に関わる人からの相談を受けて、僕自身の知見や経験、在籍する相談員たちのネットワークを駆使して創作活動を支援しています。

ーアートコーディネーターになったきっかけを教えてください。

アートに関わるようになったきっかけには、家族からの影響があったと思います。父親は表現をすることが好きで、アマチュアで「伝統芸能アンサンブルチーム」に所属し、山形の花笠音頭や北海道のソーラン節なんかを踊っていました。観劇サークルにも入っていて、僕もよくお芝居を見に行っていたので、幼い頃から演劇が身近だったんですよ。

高校に入学して、なんとなく演劇部の新入生歓迎公演を見に行ったら、先輩たちがチヤホヤしてくれて。そのまま入部してしまったんです。でも、僕は表舞台に立つタイプではなく、大道具や舞台照明を好んで担っていました。

大学で舞台照明の知識をちゃんと学んでみようと思い、芸術大学へ進学。在学中に仲間と劇団も立ち上げました。劇団でも最初は照明を担当していましたが、活動するうちに僕よりも照明デザインが上手い後輩が入ってきて、僕は役割を譲ることになりました。それでも劇団に残る中で、みんなが機嫌よく仕事ができるように、手が足りない人がいたら助けたり現場を整えたりすることが僕の仕事になって。その頃に初めて「コーディネーター」を名乗るようになったんですよ。

その後、30歳手前で現代美術というジャンルをちゃんと認識し、関わりたいと思うようになりました。新卒の頃、仕事帰りにふらっと立ち寄って「おもしろいなぁ」と見ていた展示があったんですが、それがいわゆる現代美術だったんだと、出会い直しをした気分でした。あわせて、技巧の「うまい」「下手」ではなく、コンセプトを主にした表現方法があることを知り、今まで重ねてきた価値観が揺らぐような衝撃を受けました。

―生駒のまちでアーティストの井上信太さんとともに「羊飼いプロジェクト」を手掛けてみて、感じたことはありますか。

僕は、今年の3月に家族で生駒に引っ越してきたばかりなんです。生駒はベッドタウンだから、「住んでいる人たちのつながりが希薄で、人にもまちにもみんな興味がないのでは」というイメージを持っていましたが、今回のアートプロジェクトに携わって印象が少し変わりました。まちの皆さんが、羊の作品を並べていると興味を持って話しかけてくれたり、映像作品への出演を快諾してくれたり。アートと人を受け入れる懐の深さがこんなにもあることに驚きました。

―どうすれば、私たちは日常にアートを取り入れることができるようになりますか。

アートって近寄りがたいもの、自分には関係ないものって思っている人もいると感じるんですが、実はすごく身近で、生活の延長線上にあるものだと思うんですよ。今回、井上信太さんの「羊飼いプロジェクト」を通して、生駒の見えていなかった側面を発見できたように、アートをきっかけに、自分自身がそれぞれもっている「見る/見ようとしてみる」というスイッチを入れることができるんだと思います。

まずはアーティストに直接会えるワークショップに参加したり、いろんな作品を見に行ったりして、アーティストのユニークな視点にたくさん触れていくと、そのうち自分の中のものの見方も変わっていって、いつもの日常の中に再発見があったり、新しく触れたものでも面白がることができるようになると思いますよ。

ー親子でアートに親しむために、オススメのことはありますか?

アート作品を見ながら、「作品を見てなにを感じたか」「どんなことを表現していると思うか」といった感想や想像したことを話し合う楽しみ方「対話型鑑賞」がおすすめです。これはアートについての知識がなくても誰でもできる方法なんですよ。

親子で話し合ってみると、大人と子どもの感じ方の違いや、子どもが持つ視点がわかり、新たな気づきがあると思います。美術館や展覧会に行ってもいいし、駅前のモニュメントや、学校に飾っている絵画などを題材にして、手軽に始めてみてください。

ー古谷さんの今後の目標を教えてください。

僕は目標や夢を聞かれることに、しんどさを感じるタイプなんです。自分が求められる場所で、できることに取り組んでいきたいです。やりたいことがはっきりしている人の隣にいると「足らずが見える」ことが僕の職能なので、それがどんな人の役に立つのか、どこで生かしてもらえるのかに興味はあります。

今はアートを専門としていますが、僕自身が親になったことで、「教育」の分野への関心が強くなってきました。これからは、子どもたちによりよく育ってもらうために何ができるのかを考え、自分自身も学び続けてアップデートをしていきたいと思っています。

古谷晃一郎さんが企画した授業
8/22(水)~23(木) みんなで羊飼いになろう!
10/14(土) ふしぎなひつじのお面づくり

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