7月4日に「“フォニックス”でもっと楽しく! おうち英語のすすめ」を開催し、20名の方が参加され、英語の基礎となる「フォニックス」について教わりました。
講師のマッキネン律子さんは、生駒市生まれの生駒市育ちで、現在は個別英語教室RITZ代表。中学生の時から英語に興味を持ち、カナダに語学留学したのち、大手英会話学校などで英会話やTOEICコースの講師として勤めるも出産を機に退職。カナダ在住中にこどもが自閉症の診断を受けたことから、帰国後に学習障害のある子の家庭教育の方法を模索し、フォニックス英語の教材と出会われました。
最初にマッキネンさんから「フォニックスって聞いたことありますか?」と参加者に質問されると、半分以上の方が手を挙げられましたが、内容については詳しく知らない様子。まず、参加された方の学習スタイルをチェックしたいということで、シートに沿って12問の三択質問をされました。これは、自分がどのような方法で新しい知識を学習し、記憶するタイプかを診断するものです。
その後、5つのグループに分かれて、自己紹介タイム。お名前、お子さんの年齢・学年、チェックリストの結果、お子さんの最高に好きなところを紹介しようということで、各グループとも参加した方々は初めは緊張感もありましたが、だんだん打ち解けて笑顔も見られました。特に「お子さまの最高に好きなところ」は楽しそうに話されて、笑い声も聞こえてくるほどでした。
いよいよ、律子さんから学習スタイルのフィードバック。結果を見ると、視覚型の学習スタイルの方が約50%と最も多く、聴覚型と触覚・運動覚型がそれぞれ約25%という結果になりました。
この結果から、一人ひとりの子どもたちが最も効果的に学習できる方法はそれぞれ異なることが改めてわかりました。もちろん、自分にとって最適な学習方法で学ぶことが理想ですが、学校現場で先生方が一人ひとりの子どもたちの学習スタイルに合わせるのは、現実的に難しいことも同時に想像できました。
(このような学習スタイルの多様性があることを踏まえ、先生方と協力して、子どもたちがそれぞれのスタイルで学習を楽しめるような工夫の大切さを感じました。)
また、ワーキングメモリについてもお話いただきました。ワーキングメモリとは、短い時間で必要な情報を一時的に記録・処理する「脳の作業場」ということです。個人によって長期記憶への「入り口」の大きさや容量が違うということを瓶に例えて、一輪挿しのように狭い入り口の人もいる、と説明していただきました。
現在、学校での英語教育は、中学卒業までに習う英単語数が2012年では900語程度であったのが、2021年には2,200から2,500語に増えて、学習塾関係者の94%が「難易度が特に上がった」と感じているということです。こどもたちは、英単語を記憶して使っていくことがますます高い壁になってきているのです。
フォニックスについて詳しく教えていただきました。
フォニックスとは、文字(ABC)と音の対応関係を学ぶことで、子どもたち自身で英語の読み書きが出来るようになることを目標に、英語の基礎を身につけるための学習法です。現在、日本では大きく分けて、アナリティックフォニックスとシンセティックフォニックスの2つの種類があります。イギリス生まれのシンセティックフォニックスは、実際にイギリスの小学校でも取り入れられている学習法です。元々、非英語話者用に作られた学習方法でシステム化もされていますので、英語を始めたばかりのお子さまや、学習に少し難しさを感じているお子さまにおすすめの方法です。
この方法は、英語の音を42個(アナリティックフォニックスは26個)に細かく分けて学習し、同音異綴りなどのややこしい単語もスムーズに読み書き出来るようになるのが特徴です。
それでは、おうちでどうやって学ぶのか、ということですが動画サイトなどでも色んな方がアップされていることを具体例として紹介していただきました。そして、参加者からはearthなどeで始まるのに「アース」と読むのが難しい、という疑問の声もありました。律子さんは、これがシンセティックフォニックスのひっかけ単語だと説明されていました。
最後に律子先生から「義務教育での英語学習は続いていくので、全てのお子さまが少しでも楽しく英語に触れられるよう、フォニックス学習の大切さをもっと広めていきたいです。」と、講座を締めくくられました。
また、「今日の講座が、お母さま方も(お子さんの英語教育に)頑張りすぎないで良い方法があると知ってもらえる場となれば嬉しいです。」と参加者の方々へ言葉を掛けておられました。
講座終了後も律子先生と参加者との話は尽きることなく、皆さん輪になって子どもの悩みやフォニックスについて相談や情報交換するなど交流を深めていました。
参加者のみなさんからは
「こどもの勉強に悩む毎日なので、お聞きさせていただいた事を参考にします。」
「英語の教室の体験だと気軽に行けない部分があるので、市の講座でやっていただいて良かったです。」
「こどもたちにとってどういう学習方法が良いのか考えるきっかけになりました。」などの感想が寄せられました。
この日の学びが、保護者世代である参加者の英語への理解を深め、学習障害などを抱えているこどもたちに対するサポートを考えるきっかけになれば、と願っています。