ischoolの「ミライの教室」は、わたしたち一人ひとりの可能性とチャンスを広げるための、知恵やスキル、つながりを得る場です。市内外で新しい学びに取り組む皆さんとともに、年間50の多様な講座を開講しています。
学びクリエイターの岩城です。
2月22日「ジェンダー表現を考える座談会」をオンラインで開催しました。
SNS等で誰もが発信者になる時代、“炎上”と呼ばれる現象を目にすることも少なくありません。中でも近年目立つのが「ジェンダー表現」によって物議を醸すこと。そのような状況を目にすると、思わず発言をためらってしまいそうになりますよね。「悪気はないのに、最近はちょっとした言葉尻も捕らえられて発言しにくい。息苦しい時代だ」と肩を落とす前に、その表現が含む社会の問題に目を向けるきっかけにできればと企画しました。
メインゲストは若宮和男さん。ビジネス、アート、教育などの分野でダイバーシティを推進するため各分野での女性支援に取り組み、ジェンダー問題について男性の立場からも声をあげていこうと様々なメディアを通じて積極的に発信されています。
また、Webエンジニアの吉永大さん、学校司書の玉村綾子さん、生駒市広報広聴課の村田充弘さんが登壇しました。
司会進行を担当した私も含めて、今回の登壇者は全員が「ジェンダーに詳しい専門家」ではありません。私たちが「正解」を示すようなイベントではなく、参加者の皆さんと一緒に考え、意見交換をする場になるよう、それぞれが思うことを素直に語り合いました。
まずは、SNSでの炎上事例を見ながら「どの部分が批判されたんだろう」「どんな社会問題と繋がっているんだろう」ということを話したり、日常生活でよく見る表現に対して「この中にアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)が隠れていないか」とゲーム形式で考えたりしました。
その中で若宮さんから、「そもそも“炎上”と表現してしまうことが望ましくないと思っているんです。“炎上”して燃やし切って終わりにしてしまっては次につながらないですよね」という発言があり、登壇者も参加者も「確かに!」と大きく納得。おかしいと声をあげる側も、批判されてしまった側も、論争をきっかけに「どうアップデートしていくか」ということを最後まで丁寧に議論しなければならないと改めて感じました。
続いて、登壇者が仕事や家庭で出くわした「ジェンダー表現でモヤッとすること」を持ち寄り、話し合いました。
「性別によって“ちゃん付け”と“くん付け”を分けるのはダメなことなのか」「男性が家事育児の話題を出すと必要以上に賞賛されてしまって逆に話し辛くなる」など、他の人からも「分かる分かる」と共感を得るような話題ばかり。オンライン配信のチャット欄ではたくさんのコメントが寄せられ、参加者も交えて盛り上がりました。
またイベント全体を通しては、ジェンダーに関する問題を「再生産」してしまわないという視点も大切にしながら対話が進みました。私たちが価値観をアップデートしないまま、子どもや若者たちと接したりアドバイスしたりすることが、ジェンダーギャップの強化につながってしまうかもしれません。「子育ては女性がするもの」「男性は働いて家族を養うのが当たり前」といったこれまでの社会の前提を疑い、フォーマット自体を変えていくことを忘れてはならないなと思いました。
そして何より、ジェンダーの問題を男女の対立にしてしまわないことが大切だと感じました。私たちは議論しながら、コミュニケーションを取りながら、より良い社会に変えていけるのだと、明るい気持ちになる会でした。
参加者の皆さん、本当にありがとうございました。また第2弾もやりましょう!
学びクリエイター
岩城 はるみさん
生駒市在住、アクティビスト。高校教諭として働いていたが、第二子出産を機に退職し、子育て支援事業をスタート。ベビーマッサージ教室やカメラ教室「KOJIKA no Ouchi」を展開するとともに、「子育てしやすい社会へ」をコンセプトとした「Alright Baby」プロジェクトを手がける。
子育てにおける様々な社会問題と向き合う中で、その根底にはジェンダー問題が深く関わっていると感じるように。昨年4月から大学院で子育てとジェンダーの研究をはじめ、子育て応援メディアでジェンダーについてのコラムを執筆するなど精力的に活動している。
※若宮さんがイベントに関連して発信された記事もどうぞご覧ください。 報道での「ママアスリート」などの属性ラベリングについて思うこと 〜「タグ」と「レッテル」