里山の農業体験

レポート

ischoolの自然体験プログラム「週末スローライフ」。自然の中で体験しながら五感を養い、生きる力を育むことを目指し、「竹の時間」「米の時間」「草花の時間」「鳥の時間」「野菜の時間」をテーマにした講座を実施しました。

学びクリエイターの町矢です。

3月3日(日)に「里山の農業体験」を開催し、親子11組33名が参加しました。

今回の会場は、生駒市高山町の農家「未来農業研究所」。代表の森田さんは野菜を育てることが好きで、その趣味が高じて6年前に脱サラ。「地域に喜んでもらえる農業」を目指して農家に転身しました。森田さんの畑では、季節ごとにたくさんの野菜が育てられています。その中でもメインとして栽培されている白ネギが今回の主役でした。

農業体験は白ネギにまつわるクイズでスタート。
「白ネギはたてとよこ、どちらに切ったときの方が甘いでしょう」
「白ネギは種を植えてから何か月で商品として売られるサイズになるでしょう」といった問題を親子で力を合わせて考えました。

「白ネギはたてに切った方が甘い」
「種をまいてから10ヶ月ほどで立派な大きさになる」
なんと白ネギは出荷できるサイズに育つまで約1年もかかるんだそう。普段気軽に食べている白ネギですが、初めて知ることばかり。クイズに正解したチームには賞品として白ネギのプレゼントがあり、皆さんとても喜んでいました。

その後、森田さんの畑へ向かいました。鳥のさえずりを聞きながら里山を歩く時間は、なんとも贅沢でした。広大な白ネギ畑に到着すると、さっそく森田さんが大きな農機具を操作して白ネギを土から掘り起こしました。

白ネギは土に覆われて日光が当たらない部分が白くなります。白ネギの成長に合わせて、人の手で必要なタイミングで土をかぶせているんだそう。農家の皆さんが日々畑を見守り、手間をかけながら野菜を育ててやっと収穫できるという過程を知ると、野菜を食べられることは当たり前ではないんだとつくづくと感じました。

いよいよ、収穫体験。どの白ネギがいいのかをじっくり選んでから、勢いよく引き抜きました。白ネギが土の中から姿を見せたときの、子どもたちの嬉しそうな顔!その姿を見た大人たちも思わず笑顔になっていました。

畑から戻った後は2つのグループに分かれ、出荷作業の体験と畑の見学をしました。

出荷作業の体験では、収穫した白ネギを袋詰めしました。根っこを切ったり外側の茶色い葉などを取り除いたりした後、重さを計ってから細長いビニール袋に入れていきました。

「袋詰めが難しい」
「出荷するまでにこんなにも手間がかかるなんて」
スーパーなどの店頭に並べるまでの作業は想像以上に大変だったようで、参加者のみなさんは驚いた様子でした。

もう片方のグループは、森田さんの案内で冬の野菜が育てられている畑を見て回りました。水菜や大根、白菜やほうれん草など、種類が豊富。農薬はほとんど使わずに、丁寧に育てているんだそう。

最後は、みんなで収穫した白ネギを炭火で焼いて美味しくいただきました。焼くことでより一層甘みが増し、青空の下で食べる白ネギは絶品でした。また、森田さんの農地で育てているミニトマトも特別に試食。こちらもとても甘く、子どもたちに大人気でした。

白ネギが苦手だという子も、
「このネギはおいしいからいくらでも食べられる!」
とパクパクとほおばる姿を見て、胸がいっぱいになりました。

参加者の皆さんからは、
「参加してみて、思っていた以上に農業は大変だと気付きました」
「地産地消のために、これからできるだけ生駒産のものを買おうと思います」
「野菜を作っている人の思いを大切にしたいです」
などといった感想が寄せられました。

森田さんと共に農作業を体験して、農家さんの想いや野菜にかかる手間ひまを知り、参加者の皆さんの「食」への意識も変化したようでした。今後さまざまな連携を通して、高山から新鮮な野菜が生駒のみなさんの食卓に届くように願っています。

学びクリエイター

町矢 真美
一般社団法人ひらく代表、YMCA学院高等学校 非常勤講師、書家
YMCA学院高等学校にて「自己表現とコミュニケーション」分野の授業を担当。2022 年「ひらく」を設立。校舎や決まった時間割のない新しい形の学びの場「ひらく学校」では、高山町を拠点に、ものづくりや農業、食、デザインなどの体験を通して、「自分の好き」を進路につなげる多様なプログラムを開講している。
詳しくは、こちら

これまでに、町矢さんが企画した講座のレポートもぜひご覧ください。
vol.1「週末スローライフvol.1『竹の時間』
vol.2「週末スローライフvol.2『米の時間』
vol.3「週末スローライフvol.3『草花の時間』
vol.4「週末スローライフvol.4『野鳥の巣箱づくり』

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