ミライの教室「“世界一幸せな国”に学ぶ 北欧ライフスタイル」

レポート

ischoolの「ミライの教室」は、わたしたち一人ひとりの可能性とチャンスを広げるための、知恵やスキル、つながりを得る場です。市内外で新しい学びに取り組む皆さんとともに、年間50の多様な講座を開講しています。

学びクリエイターの奥田です。
2月23日に「”世界一幸せな国”から学ぶ北欧ライフスタイル」を開催し、17人が参加しました。世界幸福度ランキングでたびたび上位にランクインするデンマークの文化や教育について対話をしながら学び、伝統料理であるスモーブローづくりと試食も楽しみました。

最初に、私がデンマークの学校「フォルケホイスコーレ」に4ヶ月間留学した経験から、デンマークの文化や教育について写真をまじえて話しました。
フォルケホイスコーレは、17歳半以上ならデンマーク人でなくてもだれでも入学することができる、大人のための教育機関です。入学や卒業の試験がなく、学生同士の対話を通して学びを深めることを大切にしているのが特徴。そんなフォルケホイスコーレでの学生生活の様子や、デンマークでの暮らしの中で知った「自分たちで考えて決めること」を大切にする現地の人たちの価値観などを紹介しました。

参加者の皆さんから大きく驚嘆の声が上がったのが、デンマークの教育制度について話した時でした。
国民は教育がほぼ無償で受けられ、さらに大学生には生活費10万円が支給されます。教育にかかる費用を親が負担しないことで、子どもたちは親の意見を気にしなくてよくなり、子どもたち自身で進路を考えて選択できるようになるんです。
そのための国からの支援なのだと伝えると、「子どもの可能性を広げる素晴らしい制度ですね」と皆さん口々に感心していました。

続いては、「スモーブロー」の試食の時間。スモーブローは「バターとパン」という意味で、オープンサンドのような料理です。クリスマスなどのハレの場で食べられるだけでなく、普段のお弁当にもなるデンマークの国民食。今回は、サーモンとアボカド、ニシン、チキンの3種類を「ミカクロ」特製のライ麦パンに載せて用意し、その内2種類を試食しました。

希望した人は、自分好みのスモーブローを手作りすることもできました。居心地のよい空間で美味しい料理に会話が弾み、まさに「hygge(デンマーク人が大切にしているそれぞれが感じる心地よさのこと)」なひと時。

お腹が満足したところで、いよいよ対話の時間に移りました。デンマーク人は色々なテーマで会話を楽しみます。年齢や性別、国籍で上下はなくフラットに自分の意見を出し合い、一方的な否定はしないのがデンマーク流。フォルケホイスコーレでも、授業がない空き時間に、一つの娯楽のようにみんなでおしゃべりをしていました。

今回は「相手の意見を尊重する」という対話のルールをお伝えしてから、参加者全員でデンマークのことを知った感想や、自分たちの暮らしに取り入れたいアイデアを話し合いました。
初めは私への質問が多かったのですが、会話を重ねるうちに、参加者の中に幼児教育に詳しい人、スウェーデンの文化に詳しい人がいることがわかり、みんなが話題を提供する「先生」になっていきました。「だれもがフラットに学び合う」というフォルケホイスコーレの精神がここに宿ったかのよう。

最後に参加者の皆さんから、
「幸せは自分たちで作るもの、というデンマークの価値観を暮らしに取り入れていきたいです」
「自発的に行動していこうという気持ちになりました」
「子育ての中でも、子どもたちに自分で考えてもらい、本人の意見を大切にしたいと思いました」
などと感想が寄せられました。イベントが終了した後も参加者同士でおしゃべりをしたり連絡先を交換するなど、活発に交流していたのが印象的でした。

「北欧のライフスタイル」に興味がある人たちが集い、だれもがリラックスして前向きな意見交換ができる素晴らしい時間になりました。今後もこのような対話の場を続けて、いずれデンマークの大人の学びの場であるフォルケホイスコーレを生駒につくりたいと思っています。

学びクリエイター

奥田 陽子さん
生駒市出身。関西学院大学経営戦略研究科修了(MBA)。
2020年8月から4ヶ月間デンマークの成人教育機関「フォルケホイスコーレ」に留学。
2022年には、フォルケホイスコーレと、デンマーク発祥の森のようちえん、自由教育大学などを視察。対話と社会課題解決への関心を持ち、「生駒ホイスコーレ」の設立を目指す。

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