生駒妖怪博物館をつくろう!

レポート

8月4日からischool for kidsとして、3日間にわたる特別講座「生駒妖怪博物館をつくろう!」を開催しました。

こどもたちが地域のなかで体験を通して学び、大人はそれをサポートするといった主旨でischoolとしては初の試みです。

主旨に賛同してくださった講師は、昨年「羊飼いプロジェクト」でお世話になったアーティストの井上信太さんと、そして奈良を中心に活動されておられる「妖怪文化研究家」の木下昌美さんです。

この講座は講義やフィールドワーク、ワークショップなどを通して、生駒の鬼伝説や妖怪について学び、最後にはみんなで力を合わせてふるさとミュージアムを「妖怪博物館」に大変身させて世にも不思議な空間をつくってしまう、そんな企画です。

今回はたくさんの募集のなかから、小学1年生から中学2年生までのこども20名とその保護者が参加してくださいました。

【1日目:8月4日】

1日目は、朝からふるさとミュージアムに集合。

これからいっしょに作っていく参加者の緊張をほぐすため、井上さんの発案で3日間名乗る妖怪ネームを自分で考えて、名札に書きました。今後は名前ではなく、この妖怪の名前で呼ばれることになりそうで早くもワクワクします。

まずは、「妖怪文化研究家」の木下さんから鬼や妖怪にまつわるお話を聞きました。

生駒の鬼伝説や伝統芸能、役行者(えんのぎょうじゃ)についての話を聞いて、妖怪についてさらに知識を深めました。

こどもたちは、鬼といっても悪い鬼だけじゃなく、いろんな鬼がいることに興味深く耳を傾けていました。

そのあと、役行者(えんのぎょうじゃ)の伝説を確かめるべく、宝山寺までフィールドワークツアーにいき、役行者が、悪さをしていた鬼を捕らえて閉じ込めたといわれる「般若窟(はんにゃくつ)」を見学しました。

木下さんのツアーガイドのもと「ここに鬼が閉じ込められていた」なんてお話を聞いていると、この日はとても暑い日でしたが、少し体感温度が下がったような気がしました。

宝山寺でのフィールドワークのあとは、お腹もすいたので、参加者みんなで各自持参してきてもらった昼食を午後に備えて、井上さん、木下さんと一緒にいただきました。

午後からはアーティストの井上さんにバトンタッチです。

みんなで博物館を作る前の準備段階として2つのワークショップをしました。

1つめのワークショップは「ペンダント作り」。

今回の博物館のテーマは「目玉」ということで、たくさんの動く目玉シールを使って、しずく型の「鬼の目にも涙」ペンダントをつくりました。このペンダントは3日間、妖怪博物館へのパスポートとして身に着けます。

みんなそれぞれ個性あふれるペンダントが出来上がりました。

2つめのワークショップは粘土を使った「鬼のお面づくり」です。

井上さんやアシスタントの方のアドバイスを受けながら、粘土をこねて楽しくお面を作りあげていきました。

お面の鬼の表情は優しかったり、怖かったり、ツノや牙があったり、なかったり、こどもたちの発想力に、井上さんも「ええやん、それ。めちゃくちゃええよ。」と一人ひとりの個性とアイデアを褒めておられました。

保護者の方も、普段見られないほどの集中力で作品を作り上げるこどもたちの姿に驚いておられました。

みんなで出来上がったお面を着けて、ふるさとミュージアムの中庭にある縁側で写真を撮ったら、何とも不思議な空間と一体感に包まれました。

こどもたちはそれぞれ学校も学年も違うのに、1日目が終わるころにはもうすっかり打ち解けていました。

参加者のみなさんからは
「自分が思っているより、うまくお面が作れた。」
「鬼についてくわしく知れたので良かったです。」
「とにかく楽しい。妖怪についてもっといろいろ話したい。」
といった感想が寄せられました。

2日目からはいよいよ妖怪博物館の準備にとりかかります。

井上さんの話では、ふるさとミュージアムを目玉でいっぱいにするとか・・・。

そんな予告と次回までに目をたくさん考えてくる宿題が出されて、1日目が無事終了しました。

【2日目、3日目 8/14,8/15】

ischool for kidsとして、3日間にわたる「妖怪博物館をつくろう!」と題した特別講座の2日目。
いよいよ妖怪博物館の準備に取りかかります。

博物館の一般公開は8月15日の16時からスタート。

限られた時間のなか、前回に引き続き井上さんの指導のもと全員で準備を始めていきます。

井上さんからは「大・小の写真やイラスト、いろんな目玉をふるさとミュージアムのいたるところに貼って、館内を目玉で埋め尽くそう!トイレも玄関も庭もどこでも大丈夫だから。」という指令が出ました。普段なら何かを貼るなんて考えられないことが出来ない場所ですが、この2日間だけは大丈夫みたいです。こどもたちはそれぞれ好きなところに目玉をテープで貼っていきました。

また、前回に「いろんな目を書いてくる」と出された宿題も、予想を上回る数の目玉を書いてきてくれており、こちらも拡大して貼り付けることに。

ボランティアスタッフを含む大人たちは、大量にプリントされた目玉を切り抜いたり、こどもたちといっしょに貼るテープを用意することにもう必死です。

2日目になると、参加者同士で見えない団結力のようなものが生まれ、大人もこどもも関係なく協力して作ることに夢中になっていました。

1日中、切ったり貼ったりを繰り返した結果、気が付くとふるさとミュージアムの館内は数千の目玉で埋め尽くされていました。

目玉の中には生駒市の市長や議長の目もありました。

2日目はほとんど目玉を増やす作業に費やしましたが、徐々に変わっていく館内に、みんなワクワクしていました。

2日目が終了し、こどもたちを送り出したあとも、井上さんとスタッフは試行錯誤しながら、参加者をびっくりさせられるような、博物館のシンボルとなるものを作ることに。翌日にみんなを驚かすことができるよう祈りながら作業はいつまでも続いていきました。

3日目はいよいよ博物館の一般公開日です。

井上さんが作成してくれた博物館のシンボルは、なんと目玉の神様(?)。
参加者もビックリの大きさです。この神様の祭壇をさらにバージョンアップさせるために、
みんなで目玉やテープなどで装飾していきました。
今回の博物館のシンボルとなるこの目玉の神様・・・暗がりで怪しい光に照らされると怖さ
満点!だんだんと博物館がカタチになってきました。

目玉の神様のまわりには、たくさんの「おりん」を置き、こどもたちは本番で鳴らして演奏会をしたり、妖怪の怖い話をしたりといったアイデアを出しあっていました。

そのあと、井上さんが赤い模造紙で「たこ」を作ってくださったので、参加者みんなで吸盤のかわりに目玉をつけて大きな「たこの妖怪」を完成させました。

さらに参加者の誰かが切り絵で妖怪を作り出し始めると、こどもたちも、一反もめん、ぬりかべ、ろくろ首、から傘小僧などたくさんの妖怪を作っていきました。

壁に大きな「たこの妖怪」、その周りにたくさんの小さな妖怪が貼り付けられ、暗くすると、とても気味が悪くてまさに、妖怪博物館にピッタリでした。

いよいよ博物館の一般公開まであと少しになりました。

博物館で限定販売する「妖怪ドリンク」を一足先にこどもたちで乾杯で、試飲をしてみんなで博物館の成功を願いました。

この妖怪ドリンク、ふるさとミュージアムの職員の方の監修のもと、赤、青、緑と3種類のジュースが開発され、コップには自分でいろんな妖怪などのシールを貼ってデザインが出来るようになっていて、遊びごごろ満点です。一般公開では、こどもたち自身で販売やPRも行うことになっていて、ちゃんと販売できるかどうか、ちょっぴり不安な様子でした。

16時。ついに「妖怪博物館」が一般公開されました。

嬉しいことに公開の少し前から、たくさんの方が並んでお待ちくださり、改めて妖怪の人気ぶりがうかがえました。

公開と同時にこどもたちは、ドリンクを販売したり、演奏会や怖い話を披露したり、館内をパレードしたり、来場者をもてなすために大奮闘。

不安は取り越し苦労になり、これには井上さんも驚きを隠せず、こどもたちといろいろ考えながら即興でアレンジしてくださいました。

妖怪ドリンクも大盛況で、当初は100杯限定でしたが、またたく間に完売!!

急遽、材料がなくなるまで可能な限り販売することになりました。

博物館は大盛況で、延べ数にして400人以上の方が来場してくださり、展示や、ドリンク、妖怪の怖い話などを楽しんでくださいました。

19時前に最後のお客さんをお見送りしたあとは、参加者のこどもたちも、保護者も2日間の準備で疲れているにも関わらず、みなさん満足感でいっぱいの表情(目)をされていました。今回の妖怪博物館のテーマである目ですが、最後にいちばん素晴らしい目を見させてもらい、スタッフもみんな感無量でした。

参加者のみなさんからは
「初めて会う人と協力して展示づくりが出来たのが楽しかった。」
「お話も楽しくて、親も笑ってばかりの楽しい講座でした。」
「いろいろなこと(アートや妖怪博物館)を通して今まで知らなかったことを知ることができた。」
「妖怪博物館でつくったりできたので、夏休みがとても楽しかったです。」
といった感想が寄せられました。

3日間に及んだ今回の講座でしたが、今回も私たちにアートの楽しさを伝えてくれた井上さん。
アートにふれることは決して非日常なことではなく、誰でもアートで空間を変えて自由に表現することが出来るということを、今回の講座で感じることができたのではないかと思います。

参加したみなさんにとってアートを感じながら地域のなかでさまざまな体験をしたことが、夏休みのスペシャルな思い出になることを願っています。

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