小荒井 幾子(こあらい ちかこ)

学びクリエイターの紹介

#こどもといっしょ #子育て

市内在住。絵本や映像の制作、ナレーション活動を行うクリエイター。NHK福島放送局のアナウンサー、日本テレビの記者、小学校の教員等を経て、現在は2児の男の子を育てながら、一人ひとりが自分らしく生きられる社会を目指し、子育て中の母親をサポートするサービス『こどもといっしょ』を運営している。

楽しいをつめこんだクリスマスのお店をつくろう」を企画した小荒井幾子さんに話をお聞きしました。

― 小荒井さんは多様な経歴をお持ちですが、どのように職業を選んできましたか。

私は日本の歴史が好きな「歴女」で、時代劇をつくることが学生時代からの夢でした。そこで、人気の大河ドラマを制作しているテレビ局に絞って就職活動をしたのですが、新卒ではご縁がなく、「就職先がない」という社会人のスタートを切ることになったんです。

それで、地元の福島県に戻ることに。そして、大学時代に取得した教員免許の資格を生かして教師になりました。生徒に囲まれ充実した日々を送っていたある日、図書室でたまたま手に取った絵本に、心を揺さぶられるような衝撃を受けたんです。そして、自分でもだれかの心に届く絵本を作りたくなり、絵本作家になることが私の次の目標になりました。

夢を追いかけ、教師を辞めて上京。東京で絵本の制作を学ぶための専門学校に通いました。さらに、「せっかく東京にいるんだし、20代のうちに自分ができることはなんでもやって吸収しよう」と強く感じるようになり、いろんなことに挑戦。その一つが、相手に伝わる話し方や原稿の読み方といったアナウンスの勉強でした。

そして、また転機が訪れました。2011年3月11日に発生した東日本大震災です。生まれ育った故郷も大きな被害を受け、その状況を見聞きするうちに、今度は地元を離れて東京にいることがもどかしくなりました。「自分にできることをしたい。福島に戻りたい」と焦りにも似た気持ちが溢れ、いてもたってもいられなくなった時に幸いにもご縁があり、2012年4月にNHK福島放送局のアナウンサーになったんです。

テレビ番組では、地元のニュースを担当。アナウンサーとして、地域の新しい取り組みや復興に関することなどの情報を伝えるだけではなく、番組の制作にも携わりました。テレビに出演するようになると、以前働いていた学校の同僚や生徒が「小荒井さんが頑張る姿に勇気をもらった」と、とても喜んでくれて。戻ってきてよかったと心から思いました。

そしてある日、大河ドラマの関連の番組コーナーの担当として抜てきされたんです。チャレンジを積み重ねてきた結果、学生時代から思い描いていた「歴女」としての私の夢が叶った瞬間でした。

地域や復興の現状、歴史のことまで幅広い情報を伝えてきた中でも、特に被災地の状況を県外の人に知ってもらうことに力を注ごうと思い、記者に転職。子どもが生まれるまでは、報道の仕事に明け暮れました。

― テレビの現場を離れてから、WEBサイトやSNS等を通して、子育てをしている人をサポートする取組「こどもといっしょ」をはじめた理由を教えてください。

「こどもといっしょ」は、主にお母さんに向けて、子育てのヒントや子どもとの時間を楽しむためのアイデアを発信したり、お母さんたちの相談相手として気持ち面のサポートをしたりしています。

実は私、第1子の妊娠29週で切迫早産になり、集中治療室に入院することになったんです。自分自身が身動きが取れないという大変な状況だからこそ、記者としての血が騒いだのかな。私と同じように、お腹の子を心配しながら毎日を過ごしている人たちに向けて、ブログをはじめました。

その後、自分がお母さんになってみると、驚くほど子育てのことを知らないということに気が付いて。それで私自身が、子どもとどんな風に向き合っているのか、どうやって子どもと過ごしているのかを包み隠さず、しかもリアルタイムに発信することで、育児中の人や今後親になる人にエールを送りたいなと思ったんです。そして、妊娠中にはじめたブログの延長線上として、「こどもといっしょ」を立ち上げました。

― 小荒井さんが子育てについて発信する中で、親子の「学び」に関して意識して伝えていることはありますか。

大人が決めたルールや正解にしばられずに、子どもたちが自由に発想できるような関わり方をすることが大切だと伝えています。

例えば、おもちゃの遊び方。玉を入れるとくるくる回転しながら落ちていく、らせん状のおもちゃがあったとして。大人はきっと決められた通りに遊ぼうとするし、子どもたちにも「こうやって遊ぶんだよ」と、教えてしまうと思うんですよね。でも子どもたちは、何も知らなければ、そのおもちゃをひっくり返すかもしれないし、玉以外のものを転がすかもしれない。そんな風に、自分たちで楽しい遊び方を見つけられるんです。

これはあくまでも一つの例ですが、決まったやり方を先回りして教えてしまうことで、子どもたちの可能性や思考力を阻害してしまうかもしれません。だからこそ、子育てではあらゆる状況で、大人は子どもを信じて待つ必要があると思うんです。このことは、「こどもといっしょ」の中でも、よく発信していることなんですよ。

ー 小荒井さんの今後の目標を教えてください。

生駒に引っ越してきて、まだ1年。街中が坂道ばかりではじめは戸惑いましたが、「坂道の上り下りで体を鍛えよう」とプラス思考に考え直して、子どもたちと一緒にここでの暮らしを楽しんでいます。

私は、一度ネガティブに感じたことでも、いい面を見つけてポジティブなものに変えていくことが得意なんですよね。子育てをしていると、なにもかもが自分のペースで進まずに心にゆとりがなくなってしまうと思うんです。そして、こういう時って、些細なことにイライラしたり、子どものやんちゃな行動が短所に見えてしまったりするもの。

私も子育てが決して順調だったわけではなく、我が子の癇癪にお手上げだったこともあるんですよ。でも、私自身の心にゆとりが生まれたことで、息子もだんだんと穏やかになりました。だからこそ、お母さんたちの心の安定のために力を尽くしていきたいと思っています。

そのためにはまず、「こどもといっしょ」をもっとたくさんの人に知ってもらいたいので、WEBサイトの充実や動画コンテンツの発信に力を入れていく予定です。実は、絵本づくりも続けていて、物語を動画にして公開しているんですよ。そして、子育てに困っていたり、しんどい思いをしている人たちに手を差し伸べるためにも、これから生駒でのつながりをどんどん広げていきたいと思っています。そうして、「こどもといっしょ」を通して、親にも子どもにも家族の時間を楽しいものに変えていくお手伝いをすることが、私のこれからの目標です。

小荒井幾子さんが企画した授業
12/16(土)楽しいをつめこんだクリスマスのお店をつくろう

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