“世界一幸せな国”の教育現場に学ぶ 個人と社会の関係性

生駒のまちを知る

学びクリエイターの奥田です。

5月18日に「“世界一幸せな国”の教育現場に学ぶ 個人と社会の関係性」を開催し、大人とこども合わせて38人が参加しました。
今回はデンマークからMads Albertsenさんをゲストに迎え、体を使った楽しいワークショップを体験したり、デンマークの教育現場について話を聞いたりし、不登校などのこどもたちをめぐる問題についてみんなで考えました。

Mads さんは“ペタゴー”と呼ばれるこどもの社会性を養う専門家で、コペンハーゲンにあるユースセンター(放課後にこどもが利用できる施設)で20年以上教育に携わっています。ペタゴーは日本では聞きなれない職業ですが、デンマークの国家資格。科目を教える先生とは違い、コミュニケーションや人との付き合い方などを一緒に考える先生というイメージです。

今回の会場は「花のまちづくりセンターふろーらむ」でした。色とりどりの花がたくさん咲いていて、とても気持ちの良いお天気。部屋の窓を全て開け放ち、庭とつなげて開放的な空間を作りました。ワークショップも芝生の庭で行い、参加者の皆さんにはずっと外で過ごしているような気分を味わってもらいました。冬が長いデンマークでは太陽の日差しを少しでも求めて外に出ようとする習慣があるので、それを再現したんです。

ワークショップは体を動かす楽しいゲームのようなものを3種類行いました。まずは全員で外に出て、大人もこどもも混じって大きな輪を作りました。だれかが音を鳴らしたりジェスチャーを作ったりして、それをみんなが真似をするというワークでした。どんどん繰り返していくうちに緊張がほぐれていくよう。このワークでは失敗を恐れず参加できることを参加者の皆さんに伝え、柔らかい雰囲気で講座をスタートできました。

次に私とMadsさんからデンマークの社会の特徴や、こどもを一人の人間として尊重する価値観についてお伝えしました。デンマークでは、こどもの自主性を大切にして創造性を育むこと、先生の役割は教えることではなく、こども本人が進みたいと思う方向へ向かえるようにサポートすることが大切にされているんです。

中でも注目を集めた話題は「親がこどもをむやみに褒めない」こと。デンマークでは「できた」という成果を褒めるのではなく、対話をしながらこどもの「あり方」に着目して存在を認めることが多いそうです。

参加者の中には我が子が不登校になった経験を持つ人もいて、
「デンマークはこのような自由な教育だけれど不登校になるこどもがいるのか」
「親はどのように対応するのか」
など熱心な質問が飛び交いました。

最後のワークショップでは、再び全員で一つの大きな輪を作りました。となりの人と手をぎゅっと握り、それを波のように隣の人に伝えていくワークでした。これは、やってみないとその面白さがなかなかわからないのですが、笑いが絶えず、参加者の皆さんが大きな家族のように一体になる感覚を味わうことができました。

終了後も話は尽きることなく、Madsさんと輪になって意見交換をするグループもあり「もっと知りたい!時間が足りない」という声が上がるほどでした。

他にも、
「改めて自分自身の子育てをふりかえり、こどもの個性や、内面性、創造性を育てることを大切にしていきたいと思いました」
「日本の学校教育や評価システムのあり方が全てではないということを念頭におきながら、日本の学校で学ぶこどもをサポートしていきたいです」
といった感想が参加者の皆さんから寄せられました。

この日の学びが、これからの教育や、私たちが暮らすまちや社会をどのような場所にしたいのかということを考えるきっかけになればと願っています。

学びクリエイター

奥田 陽子
生駒市出身。関西学院大学経営戦略研究科修了(MBA)。
2020年8月から4ヶ月間デンマークの成人教育機関「フォルケホイスコーレ」に留学。
2022年には、フォルケホイスコーレと、デンマーク発祥の森のようちえん、自由教育大学などを視察。対話と社会課題解決への関心を持ち、「生駒ホイスコーレ」の設立を目指す。

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