11月23日に「みんなで手話をやってみよう!」を開催し、親子で13名の方が参加され、手話を通じて多様なコミュニケーションについて教わりました。
最初にあいサポートメッセンジャーの方から、障がいには、見てわかる障がいと見てわからない障がいがあることをお話されました。たとえば、車の前に立ち止まり、クラクションを鳴らされても動かない人がいたとしたら、まずは何か事情があるかもしれないと想像することと、「どうしたの?」と声をかけられる勇気をもつことが大事だと教えていただきました。
次に、聞こえない方から、聞こえなくなったきっかけやその後の生活についてお話していただきました。また、ろう学校の様子についても教えてくださいました。ろう学校は、1クラスは5人程度で、みんなの顔が見える座り方をする、授業時間の始まりや終わりはチャイムではなく色のついたライト(青は休み、黄色は勉強、赤が非常)がつくということです。
さて、聞こえない生活は何が困るのでしょうか?例えば外出先で、車の音が聞こえないことだそうです。「朝起きる方法はなんでしょう?」という質問をされ、参加したこどもから「太陽の光!」という答えがあり、大きくうなずかれ「それもある!」とおっしゃられたあと、聴覚障がい者用時計の写真を見せてもらいました。「私自身は振動する腕時計で起きています。」とおっしゃっていました。
今はデザインのお仕事をされていて、病院などでご自身が作ったチラシを目にすることがあるそうです。電車通勤されておられますが、事故が起こったときなどは、車内アナウンスが聞こえず電光掲示板が頼りですが、なかなか反映されないことが困るということです。
最後に「覚えておいてほしいこと」として、①いろいろな人がいることを理解してください ②いろいろな助けが必要な人がいる。ご自身も「助けて」と言える人になってください ③そして、ぜひ助けることができる人になってください と大事なお願いがありました。
いよいよ、体験タイムです。2つのグループに分かれて、聴覚障がいの方も一緒に実際にやってみます。
ここからは、講師を生駒市の専任手話通訳者が進行され「手話は難しく考えない。」「指文字や口の形も使って表現しましょう。表情は大事です。」このあとのゲームでは「まず、自分の身体を使って表現してみましょう。書くのは最終手段で。」とアドバイスがありました。2つに分かれたそれぞれのグループに封筒が置かれています。中には「色、動物、スポーツ、府県(近畿地方)」のイラストが入っていて参加者が1枚ずつ選び、それを見ていない聞こえない方に伝えます。
Aグループは「バスケットボール、カバ、緑色」、Bグループは「うさぎ、奈良県、オレンジ色」でした。こどもたちはお互いに、また大人とも相談しながら、聞こえない方に頑張って伝える姿が印象的でした。この体験タイムから、それまでちょっと緊張気味だった参加者の表情も笑顔になっています。うまく伝わるとみんなで大喜びです!色を伝えるのは大変そう。そのあとで、それを手話ではどう表現するのかを教えてもらって「なるほど。」と納得して、楽しく学びました。伝えていた“カバ”と“ワニ”の違いなどを実際に教えてもらって体験すると、さらに楽しそう!
講師の方から「手話は言語。表情は大事。」と顔の体操をしながら、眉間にしわを寄せる、口や目を開く、などを教わって実際に練習しました。みんな表情豊かに出来ていました。ふたたびグループに分かれて、「おはよう」「こんにちは」など、あいさつの手話を教えてもらいます。自己紹介の手話も練習しました。こどもたちは自分の通っている小学校名の手話は特に熱心です。最後に、みんなが良く使うSNSの手話を教えていただきました。Line、YouTube、X、インスタグラムなど、みんな興味津々です。
質疑応答では「おばあちゃんの“ちゃん”は手話でどうするの?」という質問があり、「ちゃん、くん、さん」は男性、女性の手話と肩の動きなどで敬意を表現するということでした。また、「あけましておめでとうは手話でどうするの?」という質問には、実際に表現しながらわかりやすく教わりました。お正月には親戚や友だちに、これであいさつしてくれることでしょう。
たくさんのことを学んだ、楽しい体験型の講座でした。会場では終わってからも親子で話しておられました。今日楽しく学んだことは、手話とともに印象に残り、そして助けが必要な方への「声がけ」や実際の行動を意識するきっかけになるのではないかと思います。それを、この講座にご協力くださったあいサポートメッセンジャーや聞こえない方、講師の方も願っておられます。